- 原木椎茸ができるまで -原木椎茸がとれるまでを簡潔に。
「
椎茸あれこれ」で詳しく説明していますのでそちらも参考に・・・
①植菌まずは原木に菌を植える
植菌という作業から。
畑に種をまかないと野菜が収穫できないように、
椎茸も
原木に椎茸菌を植えなければ勝手に木から発生したりしません。
ホームセンターでは原木とともに菌が蔓延したホダ木も売っています。
それを買ってきた場合は植菌という作業はありません。
まあ割高なのでどうなんでしょうか。
一からやってみたほうが作る大変さを知れていいかもしれないですね。

植菌は駒打ちともいわれます。
これは種駒を打ち込むことからきています。
現在は種駒のほかに
オガ菌(おがくずに菌を蔓延させたもの)や
成形駒(オガ菌を固めたもの)
の3種類の種があります。
機械化が進み、ロボットによる自動植菌が行われるようなり、
オガ菌を使う比率が高くなってきたように感じます。
②伏せ込み種を植えた原木に菌を回さないことには椎茸がうまくできません。
この
菌を回すことをホダ化といいます。
原木椎茸ではこのホダ化の期間がとても長く、1年ほどかかります。

菌を回すために、まず最初は原木を覆ってしまって
温度をとったり余計な水分を抜いたりします。
温度をとるというのは、植菌の時期が寒い時期だからです。
これは
木が水を止めているときに伐採することが大きな要因で、
他にも雑菌の動きが鈍いなど、寒い時期の方がメリットが大きいためです。

菌を植えたものを覆ってから1~2カ月、
覆いを外してまとめておいておいたものを展開します。
最初の段階を「
仮伏せ」、展開した後を「
本伏せ」といいます。
本伏せの方が期間が長く、ここから発生までの管理が重要になってきます。
・天地返し その名の通り上下を入れ替えることです。
立ててある木は上下を逆さまに、組んであるものは上段と下段を入れ替えます。
これは上下で温度や湿度に差があるためで、
菌周りを一定にするために行う作業です。
最低1回は行うといいですね。
・散水 雨ばかり降る場合は問題ありませんが、
晴れが続きすぎると木が乾いて菌が死んでしまいます。
そうならないためにしっかり水をかけて水分補給しないといけません。
夏場の暑い時期は涼しい時間帯(朝・晩のどちらか)に、
それ以外は木が乾いた感じのときに散水します。
木全体がしっかり濡れるようにしっかり水をかけてやるといいです。
30分くらいしっかりと言いたいところですが、
手がけ散水であれば、鉢植えに水をやるように毎日少しずつ散水すればいいかと。
木を水に沈めるやりかたをされる方がいますが、
菌が窒息してキノコを出そうとしますのでよくありません。
③自然発生
植菌してから約1年、しっかりホダ化に成功していれば
春先の気温上昇に伴って椎茸が自然発生してきます。
一般的な自家栽培の場合はこれが発生となります。
自然発生の椎茸は促成物に比べて非常に大きく肉厚なものになります。
これぞシイタケ栽培の醍醐味というやつですね。
収穫後に水をかけてやるとまた発生するので、
気温がガツッと高くなるまでは見回りするといいでしょう。
この自然発生は春と秋の2回あります。
品種によっては春型や秋型のものも存在しますが、
たいていは2期どりが期待できます。
春の気温が上昇してきた頃、秋の気温が下降してきた頃しっかり確認しましょう。
といった具合に原木椎茸は発生するまでは約1年とちょっとかかります。
現在は発生まで約半年の植菌栽培が主流になってきたのは
この時間がかかるということも要因の一つですね。
ただ原木には原木のいいところがたくさんあります。
そもそも椎茸は木に発生するもの。
自然に近い椎茸を収穫することができるのが原木栽培。
本物をぜひ食べてほしいですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
促成栽培について上で紹介したのは自然発生まで、
栽培農家では促成栽培で年間通して椎茸を発生させます。
促成栽培とは、
ホダ化した原木を水に沈めて菌を窒息させ、
生命の危機を感じた菌が子孫を残すためにキノコを出すという性質を利用した栽培。
簡単に言えば無理やりキノコを出させているということですね。
これについては賛否が分かれるところですが、
現在生シイタケとして出回っているもののほぼ全ては促成栽培されたものになります。
自然発生したものはほとんどが乾燥しいたけになります。

水に沈める時間は短いと3~5時間、長いと24時間以上沈めっぱなしということもあります。
基本的に新しいホダ木は短め、古くなると長めになります。

沈めたホダ木を水切り後に棚に並べておくとこうしてキノコが発生します。
自然発生のキノコに比べると大きさや肉の厚さは劣りますが、
そこは原木椎茸ですので、モノの保証はできるかと。
こうしてキノコを収穫し終えたら休養舎で休ませ、
一定期間休んだ後にまた水に沈めて発生を繰り返します。
つまり、「
発生⇒休養⇒発生⇒休養」を年中繰り返しているということ。
なので自然発生を収穫する場合は、ホダ木の寿命は数年ありますが、
促成栽培を始めるとホダ木は1年ほどでだめになります。
また、最近ではホダ化を早める工夫もあり、
菌をたくさん植えたり、菌周りの良い品種ができたりして、
普通であれば植菌から発生まで1年以上かかるところ、
植菌したその年のうちに発生させることができるようになってきています。
最も早いものでは植菌後半年で発生というものさえあります。
菌床並みのホダ化作業ということになります。
どんどん技術は進歩しているんですね。
・栽培カレンダー

場所によって異なりますが大体この様な感じです。
・
植菌 1月から5月まで
植菌は早いところでは前年の12月から始めているところもあります。
遅くとも5月あたりまでは終わらせたいですね。
・
仮伏せ 植菌した日から大体2カ月ほど
カレンダーでは5月からとしていますが、あくまで植菌終わってからすぐです。
まずは菌を原木に定着させる期間です。
・
本伏せ 仮伏せ終了後発生まで
原木に菌をしっかり蔓延させる作業なので、キノコが出るまでです。
といっても水をかけたり組み替えたりする以外あまり手はかかりません。
熟成期間と考えてください。
・
発生 自家栽培では自然発生がメイン。
自然発生は春の気温上昇期と秋の気温下降期の2度あります。
これを収穫していくのが自家栽培の収穫作業になります。
このように自家栽培では2年がかかりになる原木椎茸栽培。
原木椎茸ができるまでは結構な時間を要するものなのです。